母体血清マーカー検査に関するQ&A

日本ダウン症ネットワーク(JDSN)委員会より

(1998.9.24 作成) 


この文章中には聞き慣れない医学用語などがでてきます。

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★★このページにたどりついた若い方へのメッセージ(かかわりがないと思っているあなたもどうぞ)

出生前診断について考えてみよう!やさしいメッセージです。


1. 出生前診断とはどんなもの?

Q: 「出生前診断の目的はどういうものですか」
A:  出生前診断とは、もともとはお母さんのお腹の 中の赤ちゃんがどのような状態であるかを調べるための技術でした。 でも、お母さん の中には、赤ちゃんに異常がないかどうかずっと不安でいるのはイヤだからとか、障害 を持つ赤ちゃんを生むのはイヤだからという目的で検査を受ける方もいます。詳しくはここ
Q: 「出生前診断にはどんなものがあるのですか」
A:

 ひとくちに出生前診断といってもいろいろな方法があります。以下に種類を書きます。詳しく知りたい方はそれぞれをクリックしてください。

 ・超音波断層法

 ・羊水検査

 ・絨毛(じゅうもう)検査

 ・母体血清マーカー検査(トリプルマーカーテストなど)

2. 母体血清マーカー検査(トリプルマーカーテストなど)とはどんなもの?

Q: 「母体血清マーカー検査について教えて下さい。」
A:

  妊娠するとお母さんの血液の中にはいろいろな化学成分(タンパクやホルモンなど)が現れたり、あるいは濃度が変化したりします。こうした成分のうちいくつかのものは、おなかの中の赤ちゃんに異常があることで濃度が高めになったり低めになったりします。そこでお母さんの血液を採取して成分を調べ、赤ちゃんの異常を調べようというのが母体血清マーカー検査の原理です。

 母体血清マーカー検査を受けると、赤ちゃんがダウン症を持つ確率が返ってきます。確率が高めの場合は羊水検査を勧められますが、この場合でもほとんどの場合は赤ちゃんに異常はありません。一方、確率が小さい場合であっても、ごくわずかながら赤ちゃんがダウン症などを持って生まれる可能性があります。

 母体血清マーカー検査はお母さんの血を採取するだけですから、安全でかつ手軽です。しかし、赤ちゃんがダウン症などの限られた障害である可能性があるとわかるだけです。最終的には羊水検査などの確定診断を受ける必要があります。詳しくはここ

Q: 「母体血清マーカー検査を受けることを決定する前に知っておくことは何ですか?」
A:

 まずこの検査であなたの赤ちゃんがダウン症かそうでないかを100%見分けるための検査ではないということ、それを理解しておいてください。この検査はどのくらいの割合(確率)でダウン症の可能性があるかを見るためだけのものです。

 また、この検査を受けた先には、どのようなことが起きるのでしょうか? 検査を受けた後のことについても知っておく必要があるでしょう。詳しくはここ

Q: 「はじめての妊娠です。赤ちゃんがダウン症かどうかとても不安です。安心のために母体血清マーカー検査を受けた方がいいでしょうか?」
A:

 なぜ不安に思うのか、ちょっと考えてみませんか。

 子どもを産み育てることに、不安があって当然です。生まれるまでは「五体満足であってほしい」、生まれてからは「健康に育ってほしい」、しばらくたてば「いい学校に入ってほしい」となどと期待するのは、ごく普通のことだと思います。こうした期待があるからこそ不安を伴います。決して不安を持つことが悪いことではありません。しかし、それは、検査を受けたからといって解決できる問題でもないのです。

 もしかすると検査を受けることで余計に不安が増すことだってあります。本当に検査があなたと赤ちゃんにとって必要かどうか、まずそれを考えて決めてください。詳しくはここ

3.  母体血清マーカー検査の結果の理解と具体的なリアクション

Q: 「母体血清マーカー検査で陽性といわれましたが、人工妊娠中絶をした方がいいですか?」
A:  陽性の場合でもおなかの赤ちゃんがダウン症である可能性が普通より高いといった程度です。陽性の判断は、赤ちゃんがダウン症である確率が1/300以上でなされます。その場合でも99.6%以上は正常な赤ちゃんなのです。どうしても本当のことが知りたければ、羊水検査で確定診断を受けてください。母体血清マーカー検査の結果だけでは、何も確定的なことはわかりません。
Q: 「母体血清マーカー検査で陰性と言われましたが、赤ちゃんは障害がないと考えていいですか?」
A:

 陰性の場合でもわずかながらダウン症の赤ちゃんが生まれる確率があります。その確率は1/300〜1/1000ほどで、宝くじにあたるよりははるかに高い確率です。母体血清マーカー検査はあくまでもダウン症の確率を出すだけではっきりした答は出せないものです。

 また、障害を持って生まれた赤ちゃんのうち、ダウン症の子は30〜50人に1人程度ですから、他の障害を持って生まれる可能性もあります。

JDSNからのメッセージ

 何かしら障害を持った赤ちゃんが生まれることは、実はごくごく日常的なことなのです。どうか障害を持つ・持たないで線を引くのではなく、ありのままのあなたの赤ちゃんを受け止める心の準備をしておいて下さい。

Q: 「母体血清マーカー検査を受け、陽性とでましたが、私には障害児を産みやすい体質があるのでしょうか」
A:  血液中の化学成分は人種、体重、年齢、妊娠週数などによって変化します。決して、母体血清マーカー検査では、障害児を産みやすい体質などはわかりません。ダウン症の赤ちゃんをなるべくたくさん見つけだそうとすればするほど、陽性の人は多くなります。

4. 母体血清マーカー検査による胎児スクリーニングの是非について

Q: 「なぜ、親の会は母体血清マーカー検査(トリプルマーカーテストなど)の実施に反対しているのですか」
A:  これには、いくつかの理由があります。その中には、ダウン症児の親でないとわからないとても大切なことが含まれています。そのため、ダウン症児の親の会は、母体血清マーカー検査によるダウン症胎児のスクリーニング化に、反対しています。詳しくはここ
Q: 「障害を持った胎児を中絶することは悪いことですか」
A:

 一番に大切なことは、お二人でよく考えて決めていただくことだと思います。そして、そのときに次のことが十分になされているかどうかをチェックして下さい。

 どのような障害であるか、お医者さんは十分な説明をしてくれましたか?また、障害者団体やその家族の団体などに、電話などで情報を教えてくれるように依頼をしてみてください。また、このJDSNのホームページデータライブラリーで情報を得るのも方法だと思います。詳しくはここ

5. ダウン症の人たち

Q: 「ダウン症の人と接したことがありません、ダウン症の人のことを教えて下さい」
A:

 健常な人たちにもいろいろな人がいるのと同じように、ひとくちにダウン症の人と言ってもさまざまな人たちがいます。ひとつだけ確実なのは、みんな人生を楽しんで生きているということです。

 ・ダウン症についての医学的知識を得る

 ・ダウン症に関する書籍は?

 ・ダウン症の人たち・きょうだい・家族のホームページへリンク

 ・ダウン症の子供(写真)

 ・障害者団体やその家族の団体(連絡先)

 ・JDSNホームページ

 ・JDSNデータライブラリー

6. 胎児条項とは何なの

Q: 「胎児条項とはどういうものですか」
A:  <胎児に異常があった場合に人工妊娠中絶をしていいですよ>ということと、<胎児に異常があった場合には妊娠のいつでも中絶して構いませんよ>ということを、法律(母体保護法)の条項に付け加えることが胎児条項です詳しくはここ
Q: 「胎児条項はどこの国にでもあるのですか」
A:  いいえ、キリスト教旧教が多数を占めている国、例えばアイルランド、南アメリカ諸国などにはありませんし、またドイツやアメリカにもありません。また、多くの開発途上国には出生前診断技術が一般的ではないためか、胎児条項はありません。
Q: 「胎児条項が制定されるとどうなることが予想されますか」
A:  社会的な影響として、弱いものを大切にする暖かな社会から遠ざかることになることになるのではないでしょうか。それは、高齢者への福祉もふくめ福祉社会の建設に決してプラスになるとは思われません。障害児をなくすという効率主義は、弱い者への視点を徐々になくしていくかもしれません。詳しくはここ

他にもいろんな意見があります。

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 なお、この「母体血清マーカー検査に関するQ&A」は、以下のJDSN委員によって検討され作成いたしました。

石井拓磨、石井政浩、岩崎雅行、遠藤 亜紀、加辺晴彦、唐沢幹雄、北川 剛、北澤一彦、倉島友規、児玉正文、阪上正方、佐藤孝道、渋谷好孝、滝澤真毅、巽純子、田辺レイ、鶴野訓久、中村信彦、永浜明子、長谷川知子、福永一郎、古川徹生、百溪英一、山下恵美(50音順)

このページに関するご意見、ご質問、あるいは引用、リンクに関しましては下記まで

京都大学医学研究科放射線遺伝学教室内 日本ダウン症ネットワーク(JDSN)委員会関西事務局

巽 純子:jtatsumi@med.kyoto-u.ac.jp

075-753-4412(TEL)


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