A:<胎児に異常があった場合に人工妊娠中絶をしていいですよ>ということと、<胎児に異常があった場合には妊娠のいつでも中絶して構いませんよ>ということを、法律(母体保護法)の条項に明記することが胎児条項です。

 現在、わが国で人工妊娠中絶を規制している法律は、母体保護法(1996年優生保護法から改正)です。その中の関連した条項を拾ってみますと、

第二条(定義)(2)この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保持することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。

第十四条(医師の認定による人工妊娠中絶)

(1)都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。

 一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの

 二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

と書かれています。

 つまり<胎児条項>というのは、第十四条の人工妊娠中絶が出来る二つの条件に<胎児にその時代の医療水準で不治又は致死的と認められる著しい疾患にかかっている可能性が高いもの>という一項を加えることを意味します。

 うん、それなら現在実際にやられていることと同じではないか、と思われる方もおられるかと思います。しかし、実は、<胎児条項>にはもう一つのもっと重要な意味があります。それは、胎児に異常がある場合には、現在法律で規制されている妊娠21週の末よりももっと遅くまで中絶出来るようにしようというものです。

 例えば、胎児条項があるフランスでは、妊娠28週を過ぎたダウン症の胎児が多数中絶されていると聞きます。28週を越えていればダウン症の赤ちゃんでも立派に育ちます。つまり、この場合は中絶という操作+胎児を<殺す>特別な操作が必要になります。それは薬剤であることも、胎児の心臓に塩化カリウムを注射することもあるようです。このフランスのような法律にしようというのが胎児条項の最も重要なポイントです。

 つまり、<胎児条項>を全体としてみますと、その本当の意味は、胎児に異常がある場合は、妊娠のいつでも、法律によってとがめられることなく、場合によっては胎児を<殺す>ということを含めて、人工妊娠中絶が出来るようにしようということになります。


 メインページへもどる